私は期待していたのだ
新しい生活を
子どもの新しい未来を
私は期待してしまった
貧乏が不幸だと思ったことは
あるにはあるけれど
5本の指で足りるくらいだ
それ以上に幸せな人生だったと思う
思うのに
子どもの安定した未来を
期待してしまった
親なら当然の願いを
私はずっと祈ることしかできなかった
子ども自身が自分の未来を
安定した未来を夢見たことが
私に当然の願いを身近なものした
ごめんね
勝手に期待して
ごめんね
たくさん協力できなくて
この思いは
誰にも言えないことではないのに
私はやっぱり
誰にも言えない
死ねないのなら救急車を呼ぶしかない
そういう判断はできる自分がいる
でも
やっぱりあなたのことを思い出した
苦しんで
苦しんで
苦しんで
あなたの傷ついた心の分まで
苦しんで死ぬのが筋だと思っていたけれど
心と体は別
それと
まだ死ねなかった
あなたとは別の人間の為に
ごめんなさい
私の難病を理解できる人は専門医しかいない
つまり
誰も知らない
日本には専門医は6人しかいない
つまり
この日本で私の難病を理解できる人は
たった6人の医師と同じ重症患者だけ
誰も知らないのと一緒
そんなことは理解しているし
説明しようとも思わない
難病認定されなければ
説明しても無駄
子どもは大人だけど
私の状態をよく知っているけれど
他人に説明できる言語は持ち合わせていない
だから
無理に説明しなくていい
理解しようとしない人に説明しても
労力の無駄だから
母ちゃんは
ただ貴方達に心配をかけたくない
コロリと死ねればいいけれど
この難病は時間がかかる
意識がなければ放っといていい
それは罪なことかもしれないから
母ちゃんは
貴方達が働いている時間に意識がなくれなればいいと
思っている
薄情な親でごめんなさい
差別をする人は損だ
様々な価値や美味しい物を食べ損ねている
なのに差別は存在していて根絶は無理だ
そういう人達を見て育ち
差別する側も差別される側も経験して
無差別主義者になった
つもりだった
今
私には大嫌いな人達がいる
会った事もないのに腹が立つ
こういう感情は差別的ではないのかと
この頃思う
だから差別はなくならないのだと
やっと理解した
遅い遅い理解
この年齢で
この体で
この精神状態で
理解できた
子ども達には
いつか理解してもらえると
信じていたい